日州医事 第750号
Smart Medicineの提唱
Smart Medicineの提唱
日南市 きよひで内科クリニック 河野清秀
「○○さんが息を引き取られました。」夜間当番看護師より午前零時前に連絡あり、危篤状態であった超高齢者の自宅へ深夜往診し、死亡を確認。家族より「自宅で大往生ができました」と感謝された。
当院は無床診療所であるが、看護師の24時間携帯対応、カルテの標準化を含めた書類の電子化による医療情報の共通化、多人数医療秘書によるカルテ記載等の医師業務軽減化、紹介状の容易作成化や発表実績の増大化。パートを含めて2人の検査技師による素早い検査対応とその結果の電子化、高分解全身CTの遠隔診断、電子予約システム等ITを全面活用して医療の最前線で最大限の効果を果たそうとしている。
Smart grid, Smart phone等の膨大な電子情報を、現場で効率的に管理していく事が“Smart”と言われている。日本では今まで、開業医が何でも診て、皆保険で世界一効率的で、敷居の低い“Smart”な医療“Medicine”を提供してきた。
最近、少子高齢化、医療の分業化、医療費抑制、医師不足等で総合診療所の開業は困難といわれている。しかし多病高齢化の我が国の住民の受信動向は、聖路加病院福井次夫院長報告(図1)を参考にするまでもなく、実感として地域総合
診療所のますますの大きな役割を要求している。これに応えるためには診療所領域での徹底的IT利用が必要である。多病高齢化社会で、総合診療所がITを最大限活用し、医療最前線で情報を効率よく管理し、多方面に発信していく事は今後の医療に重要な事と思われる。これを新たにSmart Medicineと私は提唱したい。