第721号

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日州医事 第721号
地域医療研修は開業医で!

日南市 きよひで内科クリニック 河野清秀

 「先生、また吐血されました」。「救急車を呼んで」。「困ったな、外来はまだ大勢の患者がいるし、今日は学校検診もあるよな。宮崎だと往復3時間だな、そうだ研修医の○○先生がいるな」。「○○先生、救急車に乗って宮崎まで往ってもらえないかな」。彼、即座に「はい」。
 今月は宮崎大学から研修医が来ている。当院は5年前から臨床研修協力施設として、過去、研修医を3人、宮崎大学研修プログラムの地域医療枠で受け入れている。今年も受け入れ可能で、研修医の手取り12万円(住宅光熱費、昼食、社会保険込みで実質は20万円強)で宮崎大学に申請した。厚労省がうたっている月収は30万円以上だが、今まで研修医の指導料として、実際に厚労省より補助された額は8万円強(82、543円)であった。この12万円は当院ではギリギリの額である。それで年2回、2人は受け入れ可能と申請した。ようやく宮崎大学関係者の努力で1人が決まり、今月より研修中であった。

 研修医にとって、将来の進路を考える重要な経験となる開業医での研修は是非行うべきと考える。厚労省の補助が8万円強であることは、研修医に授業料を含めてその差額22万円以上を稼がせなさいということだ。大病院では研修医を30万円の給与で救急等を担わせれば、給与以上に稼がせることができる。だが、その人員、設備の余裕のない診療所では大幅な手出しとなる。給料30万円となると研修医採用を躊躇せざるを得ないのが現状だ。しかし当院でも救急時には研修医は心強かった。そして何よりも、私が望むことは地域医療を最前線で担っている開業医に触れてほしいということだ。今後、経営努力して大病院との給与差額を少しでも縮めて、多くの研修医に来ていただきたいと思う昨今である。