第726号

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日州医事 第726号
医師不足の解決はカルテの標準化、担当医時間交代制である

日南市 きよひで内科クリニック 河野清秀

「心肺は特変なし、腹部は軟で腸蠕動は亢進」「CVA ノックペインはどうですか?」「右側にあり」発熱の腎盂腎炎が疑われる患者の診察時、医療秘書からの質問だ。当院では医療秘書にカルテ記入をさせ、医療関係者ならば誰が見ても判るカルテ作りを目指し努力を重ねている。一日最低40人は必須の当院では電子カルテ、医療秘書の採用は当然の選択であった。また月に40件以上ある紹介状、介護保険申請書等の書類を医師だけで作成するのは至難の技で時間の浪費であった。
昨今、医師不足が叫ばれている。特に小児科、内科、外科、産婦人科等が言われている。これらの原因の一つは過密、長時間労働によると考えられる。解決策の一つとしては多診察室、電子カルテ、医療秘書の採用に依る効率化がある。当院でも上記を採用前は一日60人以上の診察は困難であったが、今は70人でも余裕がある。もう一つは主治医制ではなく、担当医時間交代制の採用と考えられている。

主治医制では長時間労働、過負担になりがちで、多人数の患者を診ることは不可能である。時間交代制では労働時間制限で診るので長時間勤務はない。勤務時間制限のある子育て中の女医さんも参加できる。しかし時間交代制で継続医療するには見やすく、誰にでも解かるカルテが必要だ。このためには医師は各種ガイドラインに沿った標準医療の実施、診断や治療の根拠の説明がより求められる。悪筆は電子カルテで解決だが、解かるカルテには医師の説明努力と医療秘書のカルテの標準化への努力、例えば医師への根拠性の質問や平易な記述が必要だ。
当院では担当医時間交代制準備のため、解かるカルテを心がけている。早速、今年3月私が豪州での国際内科学会出席による不在時は、担当医時間交代制の実施を考えている。