第804号

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日州医事 第804号
線維筋痛症診療ネットワークへの参加をお願いします

日南市 きよひで内科クリニック 河野清秀

 「漢方痩痛外来は空いていますか、宮崎市から伺います」最近、週1回程度受付に電話があります。電話主は、全身の色々な癖痛を各科の医師に訴えても自らの科には関連なしと退けられた患者様です。薬を処方されでもあまり効果がないため、本人や家族がネットで調べ、線維筋痛症ではないかと、県内唯一の同学会診療ネットワーク参加施設である当院へ電話してきたのです。
 当院の時痛漢方外来には、県内各地から来院があります。診察してみると本症の診断基準に合致する事 もありますが、広範囲捧痛やリウマチ性多発筋痛症等の関節リウマチ類似疾患もあります。後者はステロイド等で改善します。その他は和漢学的に、お血の証の場合が多く、それに応じた各種の駆お血剤やリリカ®️等で改善しています。その後は地元の医療施設へ転院を勧めていますが、あまり遠くない宮崎市や都城市の患者さんは当院へ引き続き来院を希望されています。それは今まで各医療施設を転々とされているため.1時間超の通院時間は苦にならないとの理由からです。しかし緊急時の対応を考えると、近くの医療機関への受診が必要であるので紹介に努めています。

 線維筋痛症は複合局所痔痛症候群をはじめ、アロディニア(異痛症)も出現し、痛みの王様と考えます。患者が転々と転院するのは本症の理解が進んでいないからだと考えています。
 本症自体は江戸時代よりあった疾患で珍しくはなく、その理解が不十分なのは現代の医学が各科に分かれていて全身の痛みを受けとめる科が少ないためではないかと考えます。そのために、治療難民が発生しているのだと思います。本症の治療は漢方治療も含め、最近のリリカ®️等の慢性客痛治療薬で十分治療可能です。
 漢方の診療は漢方治療を主導する日本東洋医学会等の勉強会や、大学の講義でそれなりに理解されてきています。比べて本症学会員は多くありません。 リリカ®️等を販売する製薬会社にも協力してもらい全国に200万人、宮崎では2万人がいると考えられる本症やその診療ネットワークへの理解をお願いしています。しかしながらそれでも、いまだに本症診療ネットワーク参加施設は宮崎県では当院だけです。容痛疾患を診られる先生方、本症診療ネットワークに参加しませんか!介護医療院を司るには総合診療医とMega clinicが必要である。