第678号

titleNSIJ

日州医事 第678号
To teach is to learn

日南市 きよひで内科クリニック 河野清秀

「おはようございます」、「おはよう」。ここは当院の二階。毎朝7時半、昨年5月、10月は研修医の先生にお茶を入れることが日課となった。それから昨日の問題症例を検討し、また朝の新聞から、医療経済問題も検討する。8時15分になると、一階に降り、救急器具を点検し、朝の朝礼をスタッフ全員とする。毎日50~60人患者を診る。研修医の先生は私の後ろに座り、電子カルテに書き込んでいく。大学での教授診察時のsch reiber役である。患者さんには当院は研修施設であることを知らせてはいるが、一応研修医であることを患者さん伝えて診察にあたらせた。私はできるだけ教育的な問診をこころがけた。身体所見は典型的な、眼底、皮診、頚部リンパ節腫大、呼吸音、心音、腱反射、また和漢方の腹力等を教えた。検査は尿沈査、血球分類、胸部写真、心電図、心腹の超音波検査等の所見を述べ、診断を示した。不明な点は、その都度成書で確かめた。研修医の先生には慣れるに従い自分で診断してもらった。

勤務医時の楽しみは若い先生と回診をして、ともに議論して診療を進めることであった。開業して、それができなくて残念だった。新臨床研修制度で、地域医療の研修が必須とのことで、真っ先に研修医院に応募した。研修医の先生が民間診療所で研修を受けることは、彼らの将来の選択肢が広がると考えていたが、大学臨床からすると疾患自体から違うので、当院を研修先に希望するか心配だった。ところが研修2年目の2人が、当院を研修先に選んでくれたことは予想外の喜びであった。私にとって、改めて診療を見直す機会にもなった。スタッフにも若い先生は、いろんな意味で刺激になった。患者さんは「研修に役立つなら」と、快く協力してくれた。研修医の先生も「ためになった」と喜んでいた。今年もまた研修医の先生が来てくれることを心より望んでいる。